第12回全国棚田(千枚田)サミット共同宣言

 私たちは、今年も棚田に集いました。そして今年も、この秋の澄んだ空気の感触と、微かな風に稲穂が奏でる心地よい響きとを共有し、語りあいました。

 この棚田に広がる稲穂は、私たちの長い人生において心と身体を支えてくれる貴重な命の糧です。ショーケースに並べられたものが容易に手にできるこの時代において、私たちが自ら口にする食糧をつくり出す現場に居合わすことへの感動を覚えずにはいられません。食糧とは本来、水平線の彼方のいわば私たちの目に見えない場所で積まれ運ばれてくるものではなく、日照りや風雨に耐えながらこの国土にて生み出されるものであったはずです。

 昨今、この棚田は農業生産活動のみならず、国土の保全や水源の涵養、良好な景観形成などといった多くの機能を持つものとして注目されるようになりました。思えばこの多面的な機能というものは、潤いに満ちた土壌や遠くまで見通すことのできた里山の景色といった大切なものを経済成長の坂道の途中で肩から降ろし、登りつめた挙句に気付かされたものばかりなのではないでしょうか。
 私たちの先輩方が汗と涙で石を積み造り上げた棚田は、今この平成の世において日本が無くしてしまったものを映し出し、あるべき姿へと導く「道しるべ」の役割をも果たしているようにさえ想えてくるのです。

 来年も、また次の年も集い、語りあいましょう。そして、ここ坂元棚田をはじめとした日本各地のこの「道しるべ」が、効率重視の風潮や担い手の減少といった向かい風によって傾いてしまわないように、手をつなぎ、幾重もの輪をつくり、守っていこうではありませんか。
 結びに、次のことを確認し、未来に向け積極的に推進していくことを誓い、共同宣言とします。


1. 私たちは、日本農業が国民の食糧を生み出し、さらに棚田がその生産の場であり続けるよう、生産者と消費者とが手を組み、地産地消や食育の活動に取り組んでいきます。

1. 私たちは、中山間地域の振興と繁栄を目指す制度の確立を望みながら、自ら行動し幅広い保全活動を展開します。

1. 私たちは、先輩方の汗と涙によって作り、守られてきた国民の共有財産である棚田を文化的景観の地として後世に伝えていくための幅広い活動を展開します。

1. 私たちは、棚田や山林が持つ、水源の涵養、良好な景観形成といった多面的な機能をさらに発揮させ、緑と水を守りながら棚田が教育や環境において日本人の心の拠り所であり続けるよう活動します。

1. 私たちは、棚田をはじめとする地域資源を積極的に活用し、棚田と都市とが共生・対流する農山村社会の実現に向け、人の絆を大事にした地域づくりを目指します。


平成18年10月7日
第12回全国棚田(千枚田)サミット



最終更新:2015/05/08